呼吸器リハビリテーションとは

呼吸器リハビリテーションのイメージ写真

呼吸リハビリテーションとは、呼吸器に障害が生じた患者さんに対し、可能な限り機能を回復し、あるいは維持することによって、症状を改善し、患者さん自身が自立した日常や社会生活を送れるように継続的に支援することです。
当クリニックでは、患者さんが息切れの少ない充実した日常生活、社会生活を送れるよう、理学療法士・作業療法士が援助いたします。

呼吸器リハビリテーションの重要性

肺は胸郭が動いて、胸腔の内圧が変化することで膨らんだり縮んだりし、呼吸を行います。胸郭は肋骨や胸骨、脊椎などから構成されており、それぞれの関節を中心に手足のように動いています。この胸郭を動かす筋肉は呼吸筋と呼ばれます。

横隔膜や肋間筋などの呼吸筋により胸郭が作動して息を吸い込みます。胸郭はバネのように弾力がありますので、息を吸った後にリラックスすると自然に元に戻り、息が吐きだされます。強く吐く際には、腹筋なども使われます。

こうした肺を機能させる器官や、肺自体に障害が現れると、酸素を吸って二酸化炭素を吐き出すという、生命維持に必須のガス交換の機能が低下してしまいます。すると血液中の酸素濃度が低下し、ちょっとした作業や運動でも息切れを起こしてしまい、身体を動かすことが難しくなります。

息切れをそのままにして、運動をしないでいると、ますます活動性が低下して筋力などが低下し、さらに呼吸機能が低下して日常生活が困難になるという悪循環に陥ります。そうならないためにも、他の病気と同様に、呼吸器におけるリハビリテーションは重要です。

呼吸器リハビリテーションの対象となる病気や症状

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 間質性肺炎
  • 肺炎後
  • 肺がん
  • 胸郭の手術前後
  • 非結核性抗酸菌症、気管支拡張症 など

呼吸器リハビリテーションの方法

主に、理学療法士の指導のもと、息切れや動脈酸素飽和度、心拍数などを観察しながら行います。
個々の患者さんごとに、病態、合併症、検査・測定結果を考慮したリハビリプログラムを作成します。

  1. 呼吸筋・胸郭ストレッチ
  2. 呼吸トレーニング
  3. 運動療法
    • 自転車エルゴメーターやドレッドミルを用いた歩行トレーニング
    • 筋力トレーニング

    自転車エルゴメーターや歩行トレーニング、筋力トレーニングは、筋肉の有効な酸素利用を促進し、体力や活動性を高めるのに効果があります。息切れ、足の疲労感などの自覚症状と、指先のセンサー(パルスオキシメーター)で血中酸素飽和度を確認しながら適切な運動負荷量で行います。

  4. 日常生活動作訓練・指導
    主に作業療法士より、日常生活動作の評価・聞き取りを行い、動作に合わせた呼吸の方法や息切れの少ない動作の工夫などを提案し、より楽に生活できるよう支援いたします。