運動器リハビリテーションとは

運動器リハビリテーションのイメージ写真

「運動器」とは、骨・関節・筋肉・神経などの身体を支えたり動かしたりする組織・器官の総称です。
「運動器」の疾患は仕事や日常生活の動作、スポーツ動作を困難にし、私たちの生活の質(QOL)を低下させる大きな一因となります。
「運動器リハビリテーション」は、運動器疾患を持った方に対して、運動療法(ストレッチや筋力トレーニングなど)や物理療法、装具療法などを行うことで、身体機能の改善や痛みの改善、日常生活の質(QOL)を向上させることを目的に行います。

運動器リハビリテーションの対象となる主な疾患

股関節疾患

  • 変形性股関節症
  • 股関節手術の術後 など

膝関節疾患

  • 変形性膝関節症
  • 膝関節手術の術後 など

足関節疾患

  • 足底腱膜炎 など

肩関節疾患

  • 腱板損傷
  • 肩関節周囲炎
  • 肩関節脱臼 など

脊椎疾患

  • 腰部脊柱管狭窄症
  • 椎間板ヘルニア
  • 腰椎すべり症
  • 胸腰椎圧迫骨折
  • 脊椎手術の術後 など

その他

  • 関節リウマチ
  • 骨粗しょう症 など

骨粗しょう症

骨粗しょう症とは

骨粗しょう症のイメージ写真

骨がもろくなり、骨折リスクが高くなる疾患です。
骨粗しょう症は、老化などが原因となって骨の量が減少し、鬆(す)が入ったように骨がスカスカになり、もろくなって骨折リスクが高くなります。

女性に多い骨粗しょう症

患者さんの8割程度を女性が占めており、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下する更年期以降には、特に多く見られます。
閉経して、女性ホルモンの分泌量が減少してきますと、骨吸収のスピードが速まるため、骨形成が追いつかず、骨がもろくなってしまうのです。
そのため、閉経を迎える50歳前後から骨量は急激に減少し始め、70歳以上になると2人に1人が骨粗しょう症になっていると言われます。

骨粗しょう症の予防と治療

予防と治療には、「食事療法」「運動療法」「薬物療法」があります。食生活や運動などの生活習慣を見直すことにより、予防と改善が可能です。

食事療法

骨粗しょう症の治療や予防に必要な栄養素は、骨の主成分であるカルシウムやたんぱく質、および骨のリモデリング * に必要なビタミンD・Kなどです。
カルシウムは食品として700~800mg/日、ビタミンDは400~800IU/日、ビタミンKは250~300μg/日を摂取することが推奨されています。これらの栄養素を積極的に摂りながら、しかもバランスの良い食生活を送ることが大切です。
骨粗しょう症の人が避けるべき食品は特にありませんが、リン(インスタント食品、スナック菓子、炭酸飲料、練り物などの加工食品に多く含まれます)やカフェイン、アルコールなどの摂り過ぎに注意しましょう。
過ぎた量のアルコールは、カルシウムの吸収を妨げたり、尿からのカルシウム排泄量を増やしたりします。
カフェインもまたカルシウムの排泄を促します。
リンを摂り過ぎると、血液中のカルシウムとリンのバランスを保とうとして骨中のカルシウムが血液中に放出されてしまい、骨密度の減少を招きます。

* リモデリング
骨を壊す働きをする「破骨細胞」が骨を吸収する一方で、骨をつくる働きをする「骨芽細胞」が、破骨細胞によって吸収された部分に新しい骨をつくる代謝作用のこと。

積極的に摂りたい栄養素を多く含む食品
カルシウム
  • 牛乳
  • チーズ
  • 干しえび
  • しらす
  • ひじき
  • わかさぎ
  • いわしの丸干し
  • えんどう豆
  • 小松菜
  • モロヘイヤ など
たんぱく質
  • 肉類
  • 魚類
  • 乳製品
  • 大豆 など
ビタミンD
  • アンコウの肝
  • しらす干し
  • いわしの丸干し
  • すじこ
  • うなぎの蒲焼き
  • きくらげ
  • 煮干し
  • 干し椎茸 など
ビタミンK
  • 納豆
  • 抹茶
  • パセリ
  • しそ
  • モロヘイヤ
  • しゅんぎく
  • おかひじき
  • 小松菜
  • ほうれん草
  • 菜の花
  • かいわれ大根
  • にら など

運動療法

骨は、運動をして負荷をかけることで増え、より丈夫になります。さらに、筋肉を鍛えることで体をしっかり支えられるようになったり、バランス感覚が良くなったりし、ふらつきが少なくなって転倒防止にもつながるため、運動療法は骨粗しょう症の治療に欠かせません。
骨量を増やすには、ウォーキングやジョギング、エアロビクスなどの「中強度」の運動が効果的で、激しい運動をする必要はありません。
散歩などを可能なら毎日、あるいは週に数回でも効果が出てきますので、とにかく長く続けてください。運動量を少しでも増やそうとする心がけが大切です。

薬物療法

病状が進んだケースでは、食事療法や運動療法に併せて薬物療法を開始します。
現在、使われている薬には、骨の吸収を抑える「骨吸収抑制剤」、骨の形成(新しい骨をつくる)を助ける「骨形成促進剤」、骨の栄養素である各種ビタミン(D、K)剤などがあります。
また、腰や背中などに痛みがある場合は、痛みをとる薬も用いられます。
どんな薬を選び、いつから治療を開始するかについては、個々の患者様の年齢や症状の進み具合などを考え合わせながら、医師が判断します。

骨塩定量

骨に含まれるカルシウムなどのミネラル成分の量を測定する検査で、骨粗しょう症や代謝性骨疾患の診断に役立ちます。
また、骨の健康状態を数値化することにより、骨量の減少を早期に発見し、適切な予防や治療を行うことが可能になります。

  • 骨密度測定によって得られる情報
  • 骨折を起こす前の骨減少症や骨粗しょう症の発見
  • 将来骨粗しょう症に罹患するリスクの予測
  • 定期的な測定による骨量減少速度(疾患の進行)の評価
  • 治療の有用性、もしくは無効性の証明(治療評価)

骨粗しょう症の検査

当クリニックでは骨粗しょう症の検査として、骨密度測定装置(DEXA法)がございます。
Dual Energy X-ray Absorptiometryの略で、2種の異なるエックス線 を照射し、骨と軟部組織の吸収率の差で骨密度を測定する方法という意味です。
被ばく量は極めて少なく、迅速かつ精度の高い測定ができ、骨密度測定の標準とされています。
検査時間は10分程度で、じっと寝ているだけの検査です。